食品輸入の注意点について

 最近、食の多様化、グローバル化は勿論ですが、日本は多くの食料を輸入に頼っているのはご存知だと思います。一般的に工業製品の輸入販売と違って食品の輸入販売の方が、色々と面倒な感じがして、身近なものとは言い難い部分もありますが、実は、ちょっとした知識や経験があれば、同じように輸入販売ができるのです。今回は、そんな食品の輸入販売について見ていきたいと思います。

〇食品の輸入は誰でも、どんなものでもできる?

 そもそも食品の輸入は誰でもできるのでしょうか?そして、どんなものでもできるのでしょうか?結論から言えば、酒類等の特殊なものを除けば、原則として食品の輸入には特別な資格や許可等は必要ありません。必要な手続き等をすれば、大丈夫です。例外的に、許可が必要なのは、次のようなケースです。

・輸入割当品目(IQ)に該当、規制内容に抵触する場合

・日本で薬機法(旧薬事法)に該当する場合

・酒類(アルコール度数1%以上の飲料)を輸入する場合

このような場合は、輸入そのものに許可が必要となってきます。

〇食品の輸入に関して手続きは必要?手続きはどんなもの?

 食品の輸入に関して特別な許可等は必要ないというお話をしましたが、そのまま販売したり、調理して他人に販売する目的で輸入する場合は、手続きが必要となってきます。次のような場合です。

 ・個人で消費する場合

 ・研究用

 ・社内での検討用

・展示する目的で輸入を行う場合

ただし、不特定多数の人に試食用として配布する場合等は手続きが必要となりますから、注意しておいてください。

 では、具体的には、どのような手続きが必要となってくるのでしょうか。簡単に求めると次のような流れになります。

下記が食品輸入手続きの大まかな流れです。

・原材料等がわかる必要なものを準備

・食品検疫所に所定の書類を提出

その後、食品検疫所の審査、必要に応じて検査が行われ、届出済証の交付、輸入許可ということになります。

〇食品の輸入に関係する法律は?

 では、食品を輸入販売しようとする場合、関係する法律にはどのようなものがあるのでしょうか。主に、次のようなものをあげることができます。

・食品衛生法

・植物防疫法

・家畜伝染病予防法

・酒税法

・関税法

・薬機法その他

 それぞれの法律ごとに所管する役所などが違ってきますから、自分が輸入販売しようとする食品がどのような扱いになるのか調べることが必要となってきます。

〇食品の輸入手続きをスムーズに行うための制度

 食品輸入に関する手続き等について説明してきましたが、厚生労働省では、その簡素化、迅速化のために次のような6つの制度が定められています。

・品目登録制度

 継続的に輸入する食品の場合、事前に登録しておくことで、必要書類等の簡素化が可能になる制度です。

・計画輸入制度

 食品衛生法施行規則第32条別表第12に掲載されている食品を繰り返し輸入する場合に利用できる制度になります。審査に通れば、1年間、輸入の際の届け出が不要になります。

・同一食品等の継続輸入制度

同じ食品を繰り返し輸入する場合に検査が省略される制度です。

・外国公的検査機関検査結果の活用

 輸出元の登録された公的検査機関で事前に検査を受け、その成績書が添付されている場合ですが、カビ等輸送途中で品質が変化する可能性のある項目については検査が行われます。

・事前届出

 事前に届け出ることでスムーズに輸入できるようにする制度です。

・輸入食品等事前確認制度

 輸入しようとする食品が食品衛生法に適合することを事前に確認し、その食品や製造加工業者を登録することで、一定期間、検査が省略される制度となります。

 

 今回は、食品の輸入販売について見て来ました。販売目的で食品を輸入する場合、手続き等が必要にはなりますが、特別な許可等が必要となるものではありません。工業製品と同じように輸入販売できるものですが、工業製品以上に一般の方には馴染みがないものかもしれません。そんな時は、私達、JT TRADINGに、ご相談ください。きっと、ビジネスチャンスを拡げる、お役に立てると思います。